立命館大学国際平和ミュージアム 平和教育研究センター Peace Education and Research Institute, Kyoto Museum for World Peace, Ritsumeikan University

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平和博物館における戦争体験継承プロジェクト研究会を開催しました(6月24日) 開催報告

2022.11.04(金)

 日本の平和博物館の多くは、アジア太平洋戦争期の歴史を中心にその歴史や戦争をかいくぐった人々の体験から戦争の本質や平和を求める意味を学ぶことを目的としていますが、戦争という枠組みだけでは、過去の課題を捉えきることはできません。博物館は植民地という課題をどのように描くことができるのでしょうか。2022624日、「植民地歴史博物館の設立過程と展示の特徴」と題して、韓国の植民地歴史博物館専任研究員の野木香里氏にお話をいただきました。

 植民地歴史博物館の前史には、過去の清算の問題として親日(植民地期の日本への協力)人名事典発行や強制動員問題への取り組みがありました。その後、植民地近代化論の問い直しから、民衆の生活全体に及ぼした影響を捉え、民衆の生活の視点から歴史を捉える展示を重ね、2010年に韓国併合100年の節目に植民地支配とは何だったのかを問う展覧会や資料収集キャンペーンも行われ、資料が持ち寄られました。この展示は、「巨大な監獄、植民地朝鮮に生きる」として2011年に国際平和ミュージアムにも巡回しました。    

 報告では、その後、実際の展示の様子を多数の写真で紹介いただきながら、資料を通してどのように植民地下の民衆の生活を描き出しているのか、解説いただきました。

 例えば、「日韓会話」は、日露戦争期に日本の参謀本部が軍人用に発行したもので、日韓の会話が対応形式で記されていますが、その例文に使われている口調から当時の朝鮮人の置かれた立場が分かります。また、「創氏通告文」は、創氏改名による伝統的な家族制度の解体に対して、一門全員を同じ氏に変えることで家門を維持しようとしたことがわかります。発表後半では展示の中で紹介されている証言映像も一部見せていただき、参加者は植民地期とその中での戦争を体験した民衆の声に聞き入っていました。また、この博物館は、シベリアへの抑留韓国・朝鮮人、朝鮮人BC級戦犯、強制動員被害者、遺骨返還など、未解決の戦後補償問題、そして博物館の設立に日韓の多くの市民が関わった様子なども紹介しています。

 

 

平和博物館における戦争体験継承プロジェクト研究会

「植民地歴史博物館の設立過程と展示の特徴」

日時:2022624日(金)

場所:オンライン

発表者:野木香里(植民地歴史博物館専任研究員)

参加人数:14

 

 

▲野木香里氏
 

 

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