お知らせ NEWS
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2020.10.14(水)
オンライン講演会当日は、講演Ⅰとして兵藤友博氏(立命館大学名誉教授)より「感染症が私たち人類に問うていること-今,求められる知性・教養-」のテーマで、講演Ⅱとして鄭 雅英氏(立命館大学経営学部教授)より「感染症と近代-植民地朝鮮におけるスペイン風邪流行の歴史から」のテーマで講演いただき、2本の講演の後に質疑応答を行いました。
講演Ⅰでは、ウイルスとは何かについて解説の後、古代都市と疫病について都市の発展や都市間交流と疫病の関係について、20~21世紀の産業化の中で都市への過剰な人口集中と第三次産業の伸長による感染症拡大の実態について紹介がありました。そして、感染症を媒介する野生種の動物や家畜の課題、グローバルな交流が引き起こす感染症の蔓延についての紹介があり、最後に、自然との「間合い」と文明の「質」に触れられ、①社会システムのあり方を市場原理主義的なあり方から大きく舵を切ること、②感染回避には文明、社会の変容こそが求められ、開発志向の実学に対して、世界を客観的に見据える虚学の役割が欠かせないこと、③対立・分断を超えて協調・連携し 自らの知性と教養・人間的態度、また社会の対応能力を高めることが重要であることが述べられました。人類社会はいまだ未成熟な発達途上にあり、自然界に対して謙虚でなくてはならず、21 世紀に生きる私たち人類にはこの時代に生きる人類の固有の課題があることが強調されました。
講演Ⅱでは、最初に、コロナ禍で浮かび上がる社会と人権の姿として、感染症は人類を平等に襲わず、人種や経済格差が存在するとの紹介があり、その後、1918年に世界を襲った20世紀最大の感染症であるインフルエンザ、スペイン風邪が日本の植民地下にあった朝鮮半島にどのような影響をもたらしたのかについて、日本内地と植民地朝鮮と台湾を比較した紹介がありました。朝鮮総督府の防疫政策について詳しい報告があり、日本は「恩恵」として植民地朝鮮に近代医療制度(官公立病院、医科専門学校、種痘・予防接種などの伝染病予防)を持ち込みますが、朝鮮民衆とは距離があり受け入れられず、1918年のスペイン風邪による大量死は、朝鮮民衆にとり日頃高圧的な朝鮮総督府政策の「失政」として受け止められ、他の諸要因と共鳴して三一独立運動放棄に影響を及ぼしたことが述べられました。
講演終了後には、視聴者から寄せられたご意見、質問について講師からのコメントをいただきました。
本講演会には事前に130名を超える方々からお申込みいただきました。
開催日時: 2020年8月29日(土)14:00~16:30
講演会形式:zoomウェビナーによる配信
講師: 兵藤 友博氏 (立命館大学名誉教授)
鄭 雅英氏 (立命館大学経営学部教授)
司会: 金森 絵里氏 (国際平和ミュージアム副館長/経営学部教授)