立命館大学国際平和ミュージアム 平和教育研究センター Peace Education and Research Institute, Kyoto Museum for World Peace, Ritsumeikan University

お知らせ NEWS

1月20日(土)、第7回メディア資料研究会を開催しました!!

2018.01.23(火)

 今回は、東京大空襲・戦災資料センター研究員の植野真澄氏に、当館所蔵の名古屋空襲訴訟に関する資料について報告をいただきました。まず、空襲訴訟に至った歴史を概説いただきました。第二次世界大戦末期、日本の多数の都市は空襲を受け、多くの人々が命を失ったり、傷を負いました。占領からの独立後、戦傷を負うなど被害を受けた旧軍人や遺族、原子爆弾の被害者に対しては援護の制度が作られていきましたが、民間人に対する措置はできませんでした。こうした状況の中、1970年代に東京空襲を記録する会の結成を皮切りに空襲記録運動が全国に拡がり、全国戦災障害者連絡会の結成や、戦時災害援護法案提出、戦災関連の資料室開設など、空襲による被害の実態を伝え、救済を訴える動きが活発になりました。報告の中では、東京空襲を記録する会が作成していた当時の映像の一部も上映いただき、1976年に起こった名古屋空襲訴訟は、1987年に最高裁で敗訴が確定しましたが、同様に空襲で被害を受けても軍人や軍属と民間人では救済に差別があることを問い、民間人空襲被害者の救済を求める裁判の先例となった経緯を明らかにされました。
また、報告の中では赤澤史郎氏により、この資料が国際平和ミュージアムに寄贈されるに至った経緯や、民間人に対する被害の受忍論が持つ問題点、東京大空襲裁判にも引き継がれた防空法における国民の防空義務に関する論点の紹介なども行われました。
その後、参加者は、植野氏の紹介により、実際に裁判資料の閲覧を行いました。
また、質疑応答では、原爆などの成功事例との違い、日本の援護立法の特性、戦災被害者に対する70年代の社会的関心低下の背景などが今後の検討課題となることが議論されました。

第7回メディア資料研究会
日時:2018年1月20日(土)15:00~17:30
会場:立命館大学国際平和ミュージアム 2階ミュージアム会議室
参加者:13名
報告者:植野真澄 氏 (東京大空襲・戦災資料センター)
報告題目:「民間人空襲被害者の補償問題の戦後史〜福島啓氏氏旧蔵の名古屋空襲訴訟の裁判資料から〜」

 

▲資料を閲覧する参加者

pagetop