立命館大学国際平和ミュージアム 平和教育研究センター Peace Education and Research Institute, Kyoto Museum for World Peace, Ritsumeikan University

お知らせ NEWS

12月2日(土)、公開シンポジウム 「沖縄戦の後(あと)を生きる」を開催しました!!

2017.12.13(水)

 

 12月2日(土)13:00より秋季特別展「儀間比呂志版画展―沖縄への思い―」関連企画として、平和教育研究センター主催・同志社大学<奄美-沖縄-琉球>研究センター共催の公開シンポジウム「沖縄戦の後(あと)を生きる」を開催いたしました。

 パネリストには、同志社大学<奄美-沖縄-琉球>研究センターの冨山一郎センター長(同志社大学グローバル・スタディーズ研究科教授)、沖縄タイムス編集委員の謝花直美氏、日本学術振興会特別研究員(同志社大学)の森亜紀子氏をお迎えし、専門分野からのご報告をいただいた後、平和教育研究センターリサーチャーの番匠健一氏(同志社大学<奄美-沖縄-琉球>研究センター研究員)の司会でパネルディスカッションを行いました。
 まず、謝花氏からは「沖縄戦後――歴史の中に生きる」と題し、那覇軍港(那覇港湾施設)のある那覇市垣花地域の人々の歩んだ戦後史や戦時中または戦後に起こった軍事基地に由来する事件や事故についてお話しいただきました。お話の中で謝花氏は、「私」自身にひきつけて考える視点を持って歴史に向き合うことの重要性を指摘されました。
 次に、森氏から「<証言>を聞き、記録・表現するということ」と題し、旧南洋諸島に暮らした沖縄移民の経験や記憶を対象とする研究者の視点から儀間氏の南洋経験や沖縄戦を描く動機となった証言の存在についてお話しいただきました。その後、「証言」を「生きた証(あかし)としての言葉」と言い換えるという新たな定義の可能性について示唆いただきました。
 最後に、冨山氏からは「沖縄戦「後」ということ」と題し、沖縄の人々が負わされてきた犠牲は1945年の敗戦、1972年の復帰をもって終わることなく現在まで続いていること、アメリカ軍の占領、土地の接収、軍事基地を由来とした事故や事件が起こる度に「沖縄戦は終わってはいない」という感覚を沖縄の人々は何度も経験していること、これらを考えずして沖縄の戦後を語れないことをお話しいただきました。
続くパネルディスカッションでは、参加者からの質問に答えながらパネリスト報告の補足、3名のご報告の関連性などをお話しいただきました。
 会場に来ていた54名の参加者からは、「三名の方の発表が多彩で充実してとても勉強になりました。」、「沖縄戦や戦後というものについて深く考えさせられました。沖縄の基地問題が大きく報道される中、漠然と基地問題が解決すれば戦後の問題が落ちつくのかなと思っていたが、それだけでは沖縄の人が本当に生きることが出来るようにはならないのではないかと感じました。」などの感想をいただきました。

 儀間比呂志氏は、1940~43年の間、旧南洋諸島テニアン島の沖縄芝居小屋「球陽座」に住み込み、看板描きや幕引きを経験しました。これまで、沖縄の風景や暮らし、そしてライフワークとして沖縄戦をテーマとした作品の数々を発表しました。

 秋季特別展「儀間比呂志版画展―沖縄への思い―」は、12月23日(土・祝)まで開催しております。公開シンポジウム広報用として使用した作品「海」も展示しています。ぜひご観覧ください。

「儀間比呂志版画展ー沖縄への思いー」詳細はこちら⇒

 

▲冨山一郎氏 ▲謝花直美氏
▲森亜紀子氏 ▲会場の様子

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